「たこ焼はタコが命。南淡路の秘産、活つ
ぼダコを使っています」。赤鬼クンもさるこ
とながら、どうやらこれが、この店の主張ら
しい。オーナーの廣田哲彦さんにそこのとこ
ろを聞いてみよう。
赤鬼はもともと谷九(谷町九丁目)にあった。その店を
廣田さんは受け継ぐが、味については一からの
オリジナル。淡路の超高級ダコを分けてくれ
る知人のおかげで、自信のたこ焼を完成する
ことができた。
|
|
|
鉄板もふつうの鉄鋳物だし、これといって
特別な感じはしないのだが、たべてみるとな
るほど、タコがちがう。とろけるようなやわ
らかさとタコの味。これにほどよく小麦がま
とわりついて、カリッとした表面の食感との
妙を奏でている。
たまたま通りがかった、くいだおれの山田
六郎さんも賞味して、納得したほど。どうや
ら一流料亭がおさえてしまうただならぬタコ
の存在が効いている。お客さんも料理人が多
いらしい。これが6個 300円というのは、あ
りがたい限りだ。
|
妻の孝子さんもかなりのこだわり派。
赤鬼の味には、彼女の存在もなくてはならないように見受けられた。
去年の11月、この地に開店し、2月14日
に店の前をC・W・ニコルさんが行き過ぎた
とき、廣田さんはすかさず声をかけた。以前
からファンだったニコルさんの色紙には、「
黒姫の赤鬼から大阪の赤鬼さんへ」。
|
|
|
まるでビストロのシェフか、パティシェの
菓子職人のような風貌の物静かな廣田さんだ
が、こんなたこ焼が大阪に健在だったとは。
たこやき愛好家として、本当にうれしい出
会いであり、発見となった。
|