☆★☆ たこやきめぐり 第29回 ☆★☆

「究極のたこ焼」を求めて
− たこ茶屋 その2 −

熊谷真菜
そして彼の自信は、たこ焼も料理として完成させたい、 という強い思いへふくらんでい った。 普通、たこ料理専門店として看板をあげているのだから、 わざわざたこ焼にまで手 を広げなくてもいいように、 素人は思うだろう。 たこ焼を愛する私でさえ、それは邪道に思えてしまう。  実は、たこ茶屋をオープンした当初、 なんと彼は自分で焼くたこ焼をメニューに出していたというのだ。 「究極のたこ焼」への試行錯誤もこの時流に乗った、 突然の思いつきではなかったのである。
味の秘密 たこ天
仕込み中
 だからここのおしながきには、たこ焼だけでも、十数種類バリエーションが並ぶ梅しそ焼、ドラゴン焼、そして究極のたこ焼。 現状に安住しない箱部氏の意気込みが感じられる。 おそらく私が弟子なら、師匠、そこまでしなくても・・と 口応えしているかもしれない。  もちろんコナにもこだわる。小麦粉の種類、熟成の度合い、 玉子との相性、入れるタイミング、そして最も気をつかうだし汁。  料理はバランス、どんな食材にもたえうる現在のコナを完成してからは、 ますますいろんな具材に挑戦してきた。

 いよいよタコの扱いである。  水分のこと、うまみを逃さない工夫。もちろん歯ごたえ。 これらの要素をバランスよく検討した結果。
 答えは、たこ天。タコをゆがいて、余分な水分を出し、それに衣をつけて揚げる。 この小さなたこの天ぷらが、究極のたこ焼の核心となった

究極のたこ焼
箱部社長と真菜さん

 こうなれば、たこ焼もたこ料理の仲間入りである。 何ともぜいたくな、ふだんとはちがうたこ焼。 そしてタコそのものの味わいに舌鼓をうちながら、 料理としてのたこ焼が、他の食文化に与える大きな可能性について、 光を感じる私であった。

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