☆★☆ たこやきめぐり 第29回 ☆★☆

「究極のたこ焼」を求めて
− たこ茶屋 その1 −

熊谷真菜

  大阪キタ、お初天神界隈。  このあたりはキタのわりには、大阪らしい雰囲気、 さまざまな文化のゴッタ煮感覚が残っていて、 ついぶらりとしたくなる地域である。
 この界隈に16年前、たこ茶屋が登場した。 たこ尽くしの料理を出すお店として、知る人も多いはず。 私としても気になる存在で、一度訪ねたいと思いながら、 年月が過ぎてしまった。
たこ茶屋
箱部 聰さん
 活きたタコ。この店のこだわりのモットーは、まずこの一点に集約される
生きている、つまり生体反応があるだけでは、活きているとはいえない。 主人の箱部聡さんにとって、活きた状態というのは、海へもどせば、 またピューッと泳いで逃げてしまうこと。

 死にかけの状態のものは、なんとか生きてるとはいうものの、 決して活きてるとはいえないのである。 なぜなら、タコは貝の仲間だから、お肉のように、 死後少しおいてからの方がうまみが増すものではない。 それどころか、活け活けのところを調理しないと、味も香りも食感も台無しという代物なのだ。

じっくり焼き上げる
究極のたこ焼き

 とれとれのピチピチをできるだけ最小限に手をかけて、 ぷりぷりのうまさを口に入れてもらうために、 箱部さんのタコ研究は続いた。 たとえば塩でぬめりをとる。 これまで常識になっていたタコの扱いが、実は迷信どころか、 まちがいだったり、生簀の塩分濃度や適切な温度についても、 明石の漁協へ足を運んで調べたという。  こうしてタコにこだわる箱部さんは、たこしゃぶのアイデアをメニューに入れるなど、 たこ茶屋の人気を広めていく

続く...


好っきゃねん大阪  月刊たこやきめぐり  真菜のホームページ