大阪キタ、お初天神界隈。
このあたりはキタのわりには、大阪らしい雰囲気、
さまざまな文化のゴッタ煮感覚が残っていて、
ついぶらりとしたくなる地域である。
この界隈に16年前、たこ茶屋が登場した。
たこ尽くしの料理を出すお店として、知る人も多いはず。
私としても気になる存在で、一度訪ねたいと思いながら、
年月が過ぎてしまった。
|
|
|
活きたタコ。この店のこだわりのモットーは、まずこの一点に集約される。
生きている、つまり生体反応があるだけでは、活きているとはいえない。
主人の箱部聡さんにとって、活きた状態というのは、海へもどせば、
またピューッと泳いで逃げてしまうこと。
|
死にかけの状態のものは、なんとか生きてるとはいうものの、
決して活きてるとはいえないのである。
なぜなら、タコは貝の仲間だから、お肉のように、
死後少しおいてからの方がうまみが増すものではない。
それどころか、活け活けのところを調理しないと、味も香りも食感も台無しという代物なのだ。
|
|
|
とれとれのピチピチをできるだけ最小限に手をかけて、
ぷりぷりのうまさを口に入れてもらうために、
箱部さんのタコ研究は続いた。
たとえば塩でぬめりをとる。
これまで常識になっていたタコの扱いが、実は迷信どころか、
まちがいだったり、生簀の塩分濃度や適切な温度についても、
明石の漁協へ足を運んで調べたという。
こうしてタコにこだわる箱部さんは、たこしゃぶのアイデアをメニューに入れるなど、
たこ茶屋の人気を広めていく。
|