注文は正確に聞き取る。何個入り、いくつ、何番か。
1何もつけない 2ソース 3マヨネーズ 4ソース&マヨネーズ
この4つのタイプは珍しい。店の作業としては手間がかかるだけだが、
人によって好みが分かれていて、どのタイプも甲乙つけがたく注文がはいる。
間違いのないよう、色分けした磁石で心覚えにしている。なかには半分半分ちがうタイプを注文する欲張りもいるとか。
荷物を置く棚もあって配慮が行き届いている。テーブルについて、待つことしばし、やっと私たちの食べる分が焼きあがってきた。
|
|
|
ちゃんとフネにのっている。 1の何もつけない分は、木の香りもうっすらして、かつおとの相性もいい。
4はもちろんおいしい。桑山探偵は「ソースだけのも期待できそうやね」と新たに注文。
たしかにそれぞれ甲乙つけがたい。
私と同年代の足立さんは、店を開いて10年。親戚縁者に食べくらべてもらったりと、
試行錯誤を重ね、開店にこぎつけた。フネもコストはかかるものの、熱に強く、蒸気を吸い取ってくれるので、ほかの素材には変えられない。
|
決しておしゃべりではない足立さんだが、それだけに、たこ焼への熱意と創意がうかがえる。
この店の客たちも、たこ焼を通してそんなことを直感しているにちがいない。
足立さんに勧められて、 3のマヨネーズを食べる。そのままでもおいしいのだから、
そこにマヨネーズでまたおいしい。ソースなしのマヨネーズだけ、というのもいいものだ。 |
|
|
たこ焼の並びには、甘酢しょうが。にぎりの横についてくる上等なしょうがである。
何でまた、とたずねると、「後口にいいでしょ。それにぼくが好きなんで(笑)」。
噂の通り、いい店である。
|