ようやく明石焼が認知されるようになったある日、ごはんはないの?というオバチャンの声もあり、たこつぼ定食が登場する。
私もおそるおそる口に入れた一人だ。明石焼のふんわりと、かやくご飯の地味な味わいと、おだしのやさしさと薬味の切れ味と。渾然一体という表現はこの「まんま」のためにある。決してしつこくなく、しかもそれぞれの味も消えてはいない。あっさりとなんともいえないハーモニーが、深まりゆく日本の秋を彩ってくれる。
素材にこだわり、オリジナルなものを追求し続けた、四井さんの傑作。次なる夢は「まんま」をコンビニでも並ぶ、手軽な商品に育てることだという。