
タコ工場探検記
− 寿水産・北尻兄弟の挑戦 その3 −
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熊谷 真菜

見学がはじまる。
メイルをくださった長男の耕一さんと佳三さんが、私たちの細かな質問に丁寧に答えてくださる。
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- (1)原料出庫
- 冷凍状態の生ダコを前日の昼ぐらいから解凍する。
タンクのような専用の巨大容器に入れ、井戸水をかけながら、回転させて解けやすくする。
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- (2)股切り
- 翌日早朝、ゆでやすくするために、解けたタコの目と目の間に切り目を入れる(手作業)。
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- (3)塩もみ及び洗い工程
- 大量の塩をタンクに入れてまわしながらタコになじませ、また洗う。
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- (4)ボイル工程
- いよいよボイル。熱湯の槽のなかにタンクをおろして、回転させながらゆであげていく。ものによっては、隣の槽にうつしながら、ゆでていくこともある。ゆでる時間やタンクの回転速度などは、この道30年のベテラン、熟練の森さんの勘にまかせてある。
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- (5)冷却工程
- ゆであがったタコは真っ赤になって、今度は冷水へザブン。このタイミングも大切。川のような冷水の槽を進んでいく。
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- (6)パッキング
- 冷やされたタコはセンサーで(釣り針など)金属をふくんでいないか選別機を通ったあと、箱詰めされていく。
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耕一さんのレジュメに従って、見たままの報告である。できたてのタコを一切れもらったが、ゆでたては殊の外おいしい。
最近まで商社マンだった耕一さんが、こうして家業を継ぐために戻ってきたのは、タコの値段が上がりつづけ、商売としての転機を迎えていることも一因としてあるらしい。
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現在のタコはその70%が北アフリカ産(モロッコ・モーリタニア・西サハラ)で、モロッコ産のものがダントツに多い。
ヨーロッパでもタコの需要は伸びていて、漁の時期を制限しなければならない状況があるらしい。
たこ焼屋さんも嘆くとおり、ここ数年のタコの値上がりは、こういった世界の食糧事情をもまきこみながら、数年後を想定すると危機感をもたざるをえないのも事実だ。
わが娘を嫁に出すかのような思いをこめて、りっぱなタコをゆであげる熟練の森さん。
モロッコのタコ漁の船にも乗り込んだり、実戦的に兄の経営を助ける佳三さん。
そして3代目として、今後のゆでダコ業界を見極めようとしている耕一さん。
日本のたこ焼のためにも、寿水産の活躍を願わずにはいられないのである。
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