☆★☆ たこやきめぐり 第5回 ☆★☆

 
ホームからでも注文できそう
− 十八番 その2 − 

熊谷 真菜

 満足気に店を見回していると、冷蔵ケースに牛乳パックがどっさり と並んでいる。 ここはたこ焼き以外のメニューはない。 いったい何に牛乳をつかうのか。

 ここで、オーナーの石井富美江(とみえ)さんに登場してもらおう。
 小柄だけれど、シャキッとしたミセス。白いトレーナーがきまっている。 富美江さんは、根っからの大阪の女。 お母さんの代から喫茶店や飲食店を手がけてきた。 ここも、たこ焼にするまえは串カツを出していたという。

 「たこ焼は小さいときから食べてましたけど、最近おいしいたこ焼が 少なくなってきまして。 同じやるなら、食に通じてる人に食べてもらえるような、 いいもんを出したいと思いまして、主人と店長と3人でいろいろ工夫を 重ねました。
 何かたらん、なんやろ。 かくし味に何をつこたらいいのか、いろんなとこを食べ歩いて研究したんですよ。 タコの代わりにチーズを入れますでしょ。その発想でコナを溶くときに、 牛乳入れるのを思いついたんです。 ただ、入れすぎるとクドイし、足りないとあかんし、 量を決めるのがたいへんでした。

 味のレベルでは、ほぼ完成したんですけど、どんな出し方があるのか、 そのへんにもこだわりました。 私はやっぱりOLの人に気に入ってもらいたくて、女性ひとりでも、 気軽に来てもらえるように、雰囲気づくりは今でも気をつかっています」。
 「お客さんがお客さんを呼んできてくれはる」−母娘二代の合言葉だ。

 口コミの評判を落とさないように、素材の吟味に力がはいる。 タコはもちろん店でおいしい形に切りわける。 大きければいいというものではないらしい。
 焼きの技は、スタッフを一年がかりで指導していく。 「まじめな人なら大丈夫です」。 富美江さんのめがねにかなえば、たこ焼名人も夢ではない。

 屋号の由来を聞いてみた。「主人が18日生まれで、当たり番号なんですよ」。 「おはこ」と読めば、得意中の得意を意味するけれど、ここは、 「じゅうはちばん」と読ませるらしい。 そっと裏方に徹する、富美江さんのスタイルが、 屋号の読み方にも反映されているようだった。

では、探偵メモをどうぞ...

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