☆★☆ たこやきめぐり 第50回 ☆★☆

一押しのすぐれものたこやき
− 一富久 その1 −

熊谷真菜 (2001.1)

 たこやきはどの季節が旬ですか。 妙な質問をするマスコミが増えた。
どの季節が合うかと聞かれれば、秋から冬にかけて 、と答えるだろう。
ただし、家でたこやきを作る家庭は夏休み前後が多いし、 春先の花見にだって、 たこやきは欠かせなくなってきているし、当然お正月の初詣には、たこやき屋 台と晴れ着はピンとくるではないか。
 というふうに考えると、結局、焼きたてならいつでも旬のたこやき、ということになってしまう。

道頓堀くくる本店 店頭
大阪名物びっくりたこ焼き
 さて、タコヤキストとして密かに残したい店というのはいくつかある。
たくさんのたこやき屋が誕生し、また淘汰されていくなかで、 この店はなんとか続けてほしいというお店。
それはやはりたこやき屋さんらしい雰囲気を持つ店である。
もちろん店構えだけではだめで、その店の「器」に合わせた味わいをきちんと出している店だ。
 去年出した『たこやきのナゾ』もいろんなお店をモデルにさせてもらったが、 今回の一富久さんも、そのひとつということになる。

 場所は阪和線、天王寺から一つ目の駅、美章園。
降りてすぐ際の道を少しもどったところ。 昔ながらの小さな商店街がいい味を出していて、八百屋さんを折れて、豆腐屋さんの 向かいにある。
その数軒先に美章園温泉があって、ここには銭湯の取材でおじゃましたことがあるのだが、 そのとき見つけた隠れた名店が一富久さんなのだ。

びっくっりたこ焼き製造中
カウンター越しで焼けてるのが見えます

 余談だが、美章園温泉は昭和初期の建築物として、大阪でも1、2を争う文化的にも重要な存在。
そのお湯にはいったあと、立ち寄ったたこやきの味はまた格別だった。

続く...


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