千日前といえば、大阪はミナミの繁華街の
もなかでも、一番にぎわっている場所だ。
ここには道具屋筋、ワッハ上方、そしてNGKこと、
なんばグランド花月を中心に、飲食店、ゲームセンター、
ありとあらゆる業態がひしめいている。
そんな場所だから、誰もが注目している。
ここで店を開いて当たればすごい。全国からやってくる観光客から地元の味に
うるさい常連客まで、人の波が押し寄せる。
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そのど真ん中に位置する大入りワナカ。
なんばグランド花月の隣り、しかも人の流れからいえば、
花月の手前にあるものだから、大阪に来て、吉本を見る以上、
なんだかそこのたこ焼を食べてからじゃないと許されないような強迫観念に襲われる。
だからというわけではないが、文字通りいつ前を通っても、大入り。
この近辺にはたこ焼屋がたくさんあるけれども、よそとは一線を画している。
貫祿ある芝居茶屋的な位置づけのたこ焼屋なのだ。
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ワナカという名まえ、主人の名字。
奥さんの和中一子さんに話を聞くことができた。
ワナカは終戦直後は喫茶店、それから寿司屋、
その後はかり売りのお菓子屋さん、クレープ&たこ焼、
そしてたこ焼一本にしぼったのが10年前。
そのころ大劇から花月に変わったという。昔はサーカスやストリップだったというから、
この賑わいを半世紀、隣りからみつめてきた街の歴史の証人でもある。
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ワナカの鍋は銅製だが、すごく大きい。
一枚が8×8個とか9×10個。場所に応じて
特注してある。
その面いっぱいにコナが流されて、一気に焼いていく。
慣れない人だと多分ひとりでは焼ききれないはずだ。
大きな菜箸一本でグルグルひっくり返していく。
これはすぐ腱鞘炎になりそう。
焼き手に聞いてみると、「手首で回すんではなくて、腕全体で回していくんです」。
なるほど、だからよけいに豪快な焼き方にみえる。
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