☆★☆ たこやきめぐり 第37回 ☆★☆

外カリ、内プチュ。究められたうまさ。
− うまいもんや その1 −

熊谷真菜

 駒川中野商店街といえば、大阪でも一、二 を競う賑わいのある商店街。庶民の台所とし てオモロイ店が軒を連ねる。  地下鉄駒川中野駅からはじまる商店街をはい ったすぐの所に「うまいもんや」はある。そ ういえば、以前来たときになんとなく気にな った店だ。ただ私があえてたずねなかったの は、そのあとの約束の時間が迫っていたこと 。客が数人いて順番待ちだったこと。そして 店の形態がもうひとつややこしかったたこと 。
うまいもんやの看板
下山達夫さん
  店の形態がややこしいというのは、たこや きを焼く台のうしろに、ちゃんとした調理場 があって、どうやらそこにはカウンターもあ り、やきそばやお好み焼、ラーメンなども出 している様子だった。  あっそうか。「ついでのたこやき」なんだ 。
 「ついでのたこやき」というのは、たとえ ばお好み焼屋さんが、材料の共通点から、つ いでにたこやきも焼く、とか、惣菜屋さんが 最近人気のたこやきを、ついでに始めるとい った意味。

 たこやきなんて、「ついで」みた いな食べものだから「ついで」そのものは別 にどうってことない。でも私としてはたこや き一本勝負のお店の方が、お店の人のたこや きへの愛情が何となく感じられて、つい「つ いで」っぽいお店は行き過ぎてしまう癖がつ いているのだ。
 よくあるパターンで考えてはいけない。今 回うまいもんやのたこやきを味わい、「つい でスタイル」への偏見を捨てなくてはならな いことを痛感した。  

たこやきの手さばき
大阪の人のお口は正直で

主人の下山達夫さんは、私の知るたこやき 店主の中でも十本の指にはいる、かなりのこ だわり派。おまけに味への思いを語らせれば 、その巧妙な語り口、説得力は五本の指には いる。

続く...


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