駒川中野商店街といえば、大阪でも一、二
を競う賑わいのある商店街。庶民の台所とし
てオモロイ店が軒を連ねる。
地下鉄駒川中野駅からはじまる商店街をはい
ったすぐの所に「うまいもんや」はある。そ
ういえば、以前来たときになんとなく気にな
った店だ。ただ私があえてたずねなかったの
は、そのあとの約束の時間が迫っていたこと
。客が数人いて順番待ちだったこと。そして
店の形態がもうひとつややこしかったたこと
。
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店の形態がややこしいというのは、たこや
きを焼く台のうしろに、ちゃんとした調理場
があって、どうやらそこにはカウンターもあ
り、やきそばやお好み焼、ラーメンなども出
している様子だった。
あっそうか。「ついでのたこやき」なんだ
。
「ついでのたこやき」というのは、たとえ
ばお好み焼屋さんが、材料の共通点から、つ
いでにたこやきも焼く、とか、惣菜屋さんが
最近人気のたこやきを、ついでに始めるとい
った意味。
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たこやきなんて、「ついで」みた
いな食べものだから「ついで」そのものは別
にどうってことない。でも私としてはたこや
き一本勝負のお店の方が、お店の人のたこや
きへの愛情が何となく感じられて、つい「つ
いで」っぽいお店は行き過ぎてしまう癖がつ
いているのだ。
よくあるパターンで考えてはいけない。今
回うまいもんやのたこやきを味わい、「つい
でスタイル」への偏見を捨てなくてはならな
いことを痛感した。
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主人の下山達夫さんは、私の知るたこやき
店主の中でも十本の指にはいる、かなりのこ
だわり派。おまけに味への思いを語らせれば
、その巧妙な語り口、説得力は五本の指には
いる。
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