まえがき
たこ焼探偵団のひとり、吉田咲子嬢から桑山哲也さんを紹介された。桑山氏は私と生まれ年が同じで、NECの営業課長。たこ焼に非常に興味をもっておられるとのこと。長身の慶応ボーイ、奥さんはNHKの元アナウンサーで、弟さんはイギリスで弁護士・・・。
身辺調査のように聞いてしまった。
いろいろ話していくうちに、ぼくも探偵団に加わりたいとおっしゃる。咲子嬢とともにぜひぜひ、などと大喜びした次の日。桑山氏は近所にある、おばあちゃんが気まぐれでやっているたこ焼屋さんのレポートを、メールでくださった。それを読んだ私は、氏の調査力、機動力のすごさとともに、たこ焼に対する熱い思いを十分に感じとり、たこ焼めぐりの日を待ち詫びたのだった。
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大阪ガスのタンク跡地に登場した大阪ドームは、波を打つ円盤がパーマンの口元にも見える、なかなかユニークな大阪の新名所である。その日はドームでの大きなイベントはなかったものの、春休みもあって若い人たちでにぎわっていた。その一角に、めざすたこ焼屋さんがある。 |
屋号はアルファベット。そして大阪発の世界的なイラストレーター、黒田征太郎氏がプロデュースしたという。壁いっぱいに、真っ赤な黒田タコが踊っている。8本の足の並びのアイデアがいかにも黒田さんらしい。いろんなタコのイラストを見てきたが、こういうタコもあったんだ、とその愛らしさに惚れ惚れする。
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オーナーの石川勝美さんにお話しをうかがう。「人のぬくもりをもった空間を演出しないと、都市の再開発は生きてこない」という黒田さんの持論もあって、新しいスペースにたこ焼屋さんを開くことを快く賛同してもらえたという。たこ焼のはいるパッケージはもちろん、いたるところに黒田タコが踊っている。
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