☆★☆ たこやきめぐり 第23回 ☆★☆

レベルの高い友情たこ焼
− ろんちゃん その1 −

熊谷真菜
ひと昔前のことである。大阪府は泉大津で 、神農エイジクンと石田博文クンという19歳 の若者が、吉野屋の牛丼のバイトで出会った 。二人は同い年、意気投合する。もともと周 囲からは「エイジ」、ひろぶみの「ろ」を取 って「ろんちゃん」と呼ばれていたふたり。
店
ろんちゃん
ここで鋭い読者なら、ははー今日の主役は石 田クンだな、なんて思うでしょうが、そこへ 行く前に神農クンの偉業に触れておきたい。 互いに、エイジなんてかっこよすぎるやん、 ということで、石田クンは神農クンを「しん (神) ちゃん」、神農クンはかわいすぎるや ん、と石田クンを「ダーちゃん」と新しいニ ックネームを付けて呼びあうことにしたとい う。人とはちがう愛称をつけるなんて、二人 の仲のよさを感じさせるエピソードではある 。

さて二人の共通点は、たこ焼があんまり好 きではないこと。ところがある日しんちゃん は、なぜかたこ焼屋を開業すると宣言。それ から二人は噂のたこ焼屋さんを食べまくり、 この店と決めたモデルのたこ焼を徹底的に研 究する。屋号は「開運」。開運開店の日、石 田クンはしんちゃんの指示通り、近所でたこ 焼を持って走り回ったり、泉大津の駅でおも むろにたこ焼を食べてみたり、匂いを撒き散 らして、しんちゃんの商売繁盛を助けたのだ。研 究熱心なしんちゃんのたこ焼は、口コミで広 まり、今では行列が絶えない隠れた名店とな っている。

たこやき
ノート

それから約8年、ろんちゃん=ダーちゃんこと石田ク ンであるが、彼も去年の8月にたこ焼屋を開 くことになった。しんちゃんに相談すると、 決して人に言ってはならないという約束で、 焼き方から何もかもをそのまま伝授。そこで 店さがしがはじまる。なんとかいい場所をと、人 通りを数える地道な作業もつづく。泉大津駅 の乗降客は一日2万5000人、鳳駅は4万〜4 万5000人。その鳳駅前のでんでん坂を少し下 がった所に、いい店をみつけた。

続く...


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