☆★☆ たこやきめぐり 第21回 ☆★☆

新地にふさわしいたこ焼スポット
− 和楽路屋 堂島店 その2 −

「イヤー、たこ焼というのは、味だけで語れるものではないんですね。主人の意気込み
とか、店の演出なども加わっての味わいになりますから、どこのがおいしいなんて、答えることは不可能なんですよ」。

「うまいこと言いますね(笑)。ところで正直言って、うちのたこ焼はいかがでしょうか」。

やはり寅歳の人だ。鋭い質問のショックに、いつのまにか無言のまま、鎌田さんの焼く手元だけをみつめていた。

たこやき
たこやき
こぶりの銅の鍋に、コナと天カスがあふれ、それを千枚通しですばやく丸めていく。注文を受けてから焼きはじめるものの、かなり早く焼きあげる。

 ひょうたん型のお皿に10個。ソース、七味の醤油など、好みの薬味をつけて食べる。印象的なのは天カスの味、香ばしくて歯ごたえが残っていて、ここの味は天カスが大きなカギと見た。特別オーダーらしく、形も色もふぞろいのおいしそうな天カスが器に山盛りに置いてある。

 メニューは、たこ焼1種類だけ。飲み物はアルコール系が数種。こんな空間でたこ焼1アイテムを守り続けているとは。店の自信と誇りの現れでもある。さっきの店長の質問も、確固とした思いの上での、まじめなものだったわけだ。

 それだけの味を決めたのは、だれか気になる。亡くなった社長の奥さんだった石原栄さんだという。その人はなんと明治43年生まれ、今も元気に仕事や趣味に夢中になっておられるらしい。

そんなハツラツとしたおばあさんにあやかれるよう、時には食べに出掛けたいもの。

 夕方からは出前もしてくれる。2階は靴を脱いで掘り炬燵風。借り切って、たこ焼パーティーもできそうなスペースだ。これからの新地に必要な要素を大いにふくんだ、たこ焼スポットである。

2階

探偵メモに続く...

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