まず、屋台の骨組みというか構造は、江戸期の屋台に近い様相で、創業以来何度も作り直しているものの、新品の雰囲気を出さないようにしてある。ばかでかいものではなく、こじんまりと、半間ぐらいの幅に焼きこんである銅製の鍋がぴたりとおさまる。
そのひとことだけでも、よその店とはひと味ちがう何かを感じるものだ。
さらにメニューがびっしり。ソース、しょうゆ、タルタルソース、カレーソース、ケチャップ、ゆずしょうゆ、レモンしょうゆ、みそしょうゆ、バター味。ソースの種類だけでもこんなに並ぶ。多すぎて迷いそうな人のために、初恋の味〜などキャッチフレーズがついて、笑わせてくれる。
私が小さい頃はやっていた、本物の赤ちゃん大のぷっくらしたお人形が、屋台の柱にくっついている。人形付きのたこ焼屋さんなんて前代未聞、これからも出現する可能性は低いはずだ。
どうしてまた。ご主人の吉田誠良さんにたずねると、「道頓堀にも立ってますやろ。人形置いといたら、ほかの屋台とまちがわんと来てもらえます。なぜワインがはいるか?伊達に入れてはおりません」。
ところが...