こ や き   ぐ り  第 16 回

あべので花ひらく もちもちの食感

「櫻」 その3

熊谷 真菜



 油ひきをさっと匂わしてもらうと、うっすらと胡麻油の香り。
 いい匂い!と喜んでいると、すかさず

「シャネルの5番や」

 切り口を見れば、タコの大きさ、善し悪しもわかるという。
 4年に一度、なぜかタコは不漁になる。

 本当にいろんなことを教えてくれる人なのだ。



 いよいよたこ焼が焼けてきた。

 「こんなおいしそうなん、売んの、もったいないなあ。別嬪さんが見とるから、たこ焼恥ずかしがっとる」。
 冗談もいっしょに、皿にのせてくれる。

 コナの段階からわりと濃厚な感じがしていたが、比較的小麦粉が多いのが特徴。卵もたっぷりの色合いだ。
 ところが食べてみると、意外なことに粉っぽくなく、いくつでも食べたくなる。

 さすが、阿倍野を代表して確立された大阪の味だ。



 鉄板のふちにこぼれて、カリカリに焼けた、おせんべいをおっちゃんは時折口にする。
 じっーとみつめていると、さっそく口にいれてくれた。

 食べものの世界では、おまけのようなたこ焼の、そのまたおまけのせんべいが、これまた香ばしくて、おいしいおいしい、と感激しまくる咲隊員と私でありました。

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