☆★☆ たこやきめぐり 第8回 ☆★☆

 
玉突きとたこ焼のおいしいミスマッチ
− 本町タコ平 その2− 

熊谷 真菜

 23歳の若さで店を任せられているのは、田口実布さん。 オーナーをたこ焼の師匠とあおぐしっかり者。 同じ材料で同じように焼いてもやっぱり焼く人がちがうと、味が変わるんですよ。 私はまだまだです。

 テンポの早い口調といい、手付きのよさといい、大阪っ子やなあ、と 思ったら、岐阜出身という。 新大阪人(*1)として、「なにわのたこやきと撞球場」の店長として、 すっかり板についている。

 さて満足して帰ろうとすると、入り口から腰の低い、 でもちょっと派手な装いのやさ男がはいってきた。 この人が実は、たこ焼と玉突きという妙な取り合わせの発案者だったのである。 この店とは、一年前からのおつきあいだが、師匠と呼ばれるオーナーとは 初めてだ。 なんともイメージしていた雰囲気とはあまりにちがって、私もあわてていた。
 師匠にしては軽すぎる。 オーナーにしては若すぎる(もしかしたら20代かもしれない)。 彼はたこ焼屋というよりも、プールバーの主人にふさわしい雰囲気で、 あいさつしてくださった。

 名刺からも「スリーアイシステム研究所」とハードな先端的な匂いがする。 たこ焼のタの字もないではないか。 ややがっかりしながらも、気をとりなおしてお願いした。

 店の奥に立ち入り禁止区域があって、そこには何か特別なものが、 隠されているようなのだが、田口さんからは中はまだ見せられないと 固く禁じられていた。 あそこをのぞきたいというお願いだった。

 熊谷さんに頼まれたらしかたないです。
 オーナーは、やさしく軽やかに案内してくださった。 それはクリスタルな、電飾バリバリの、まさに未来的なビリヤードの 台だったのである。重々しい従来のビリヤードがまぬけて見えるほど、 ライトな玉突き台は神々しく輝いていた。

 ビリヤードとたこ焼というミスマッチアイデアの次にひかえるのは、 この近未来サイバービリヤードだったのだ。

 (*1)新大阪人:今発売中の昭文社刊「マップルマガジン大阪97」の 「コテコテ大阪文化論」をご参照ください。

探偵メモへ、続く...


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