☆★☆ たこやきめぐり 第6回 ☆★☆

 
3ちゃんワールドへようこそ
− 3ちゃん その2 − 

熊谷 真菜

 大阪中津、東洋ホテル前。 ここにケッコウイケルたこ焼屋台があることは、情報として知っていた。 ただ開店が夕方。子持ちの母としては時間が許されない。 そんなこんなでなかなか食べに行けなかったのだ。

 意を決してさあ、突撃。もちろん西川も同行してくれた。
 中津1丁目の角に屋台は開いていた。 すだれをくぐる。中は広い。マル椅子に腰掛けて、しばし観察。 とにかく主人らしきおっちゃんが、しゃべり続けて、ことばをはさむ余地がないのだ。 まごまごしていたら、お客さんのひとりが、そばのクーラーボックスから ビールを取り出してくれた。

 「さ、サラリーマン、今度はなにをたのもうか。 お嬢さん何が食べたい? え? すいか? よしよし、 ではサラリーマンに千円ずつ出してもらって、すいかをご用意いたそう」。 すると主人のそばでニコニコと座っていた青年が「行ってくるわ」と、 すいかを買いに走る。

 カウンターのまえのたこ焼の鉄板では、コロコロとたこ焼が焼かれる。 主人は思い出したように焼きはじめる。ごま入り、ねぎ入り、何もなし。 どうやらこの店のメニューは3種類のたこ焼を核にして、 あとはオーダーすれば、近所の特約店へだれかが買いに走ってくれる、らしいのだ。

 いつのまにか、私たちのまえにたこ焼の皿が並ぶ。 ソースのついているのもあれば、ないのもある。 探偵たちも、おそるおそる爪楊枝で口に運ぶ。雰囲気がいつもとちがう。 主人の会話、作業に独特のペースがあり、それに割り込んで、 口をはさむことがなんとなく許されない雰囲気なのだ。
 「この店はいつごろからあるのですか」。 なんとか質問を発したとしても、「おとといからや。きのうまでは 開店セールで、オール半額やったのに、惜しかったなあ」なんて 表現で、はぐらかされる。

続く...

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