☆★☆ たこやきめぐり 第46回 ☆★☆

タイ、バンコクの新しい食トレンド
−  タコダコ  −

熊谷真菜 (2000.8)

今回のたこやきめぐりは海外編、ということで、タイのバンコクにあるお店をレポート します。 「タコヤキスト、アジアのコナモンを食べ歩く」というタイトルになりそうな、 アジア紀行。実はふりかけを探る、コナモンというよりは米料理の発見の旅。
頼りない私に同行してくださったのは、 東南アジアの食研究者であり、カレー大魔王の異名をとる森枝卓士さん。

余談になるが滞在したのは、世界でも有数の上質なホテルとして名高いスコータイホテル
泊まる所はどうでもいいと思っている私でも、このホテルは別格。
空間のデザイン、サービス、何もかもがすばらしい。 快適さのなかにも暖かさと優しさがあふれているから、プールでものんびり一人で楽しめる。
スコータイ王朝の遺跡をレプリカにして、そのコンセプトで建てられたスコータイホテル。
 タコダコ


そのスコータイホテルの日本人スタッフ齋藤尚志さんと栃木修子さん。
齋藤さんにはレストランセルドンでの撮影など、たいへん御世話になり、 また栃木さんには貴重な情報を教えてもらった。
英語もタイ語もだめな私に、栃木さんの日本語はことのほかやさしい。 彼女は数年前からタイに住んでいるが、最近たこやき屋さんをみかけるようになったという。
この近くにもあります、ということで、私たちはあわててでかけたのだった。

スクンビット通りに面した新しいファッションビル、エンポリアムの5階に、栃木さんの話す店はあった。
 さらに運よく、中華系のタイ人、ソムキャット・ワンサクルシャイ、通称文(ぶん)さんに、 会うことができたのだ。突然おしかけたのに、ラッキーとしかいいようがない。
 文さんは30歳。12年前、日本を旅行し、ナンバで初めて食べたたこやきに魅了された人。
兄のソムシャイさんは横浜の元町でテラス・オブ・バンコックというレストランをしている。
8年前に、たこやき屋をバンコクで開くがもうひとつ期が熟していなかった。 2000年2月、このビルのオープンとともに再度挑戦。いまではこのフロアーの人気店になっている。

 天かすは自家製。タコ、コナは日本から輸入。道具なども日本から。カノンクロック・ ジープン(日本のカノンクロック=焼菓子)=たこやきは焼き方もできあがりも日本のと まったく同じ。ただしソースは赤く、ケチャップ味を強くしている。
 メニューはタコ、海老、カニカマボコ、ハム、野菜の5種類。4個45バーツ(約140円)、8個85バーツ(約260円)。
30バーツも出せば、うまい麺料理が食べられることを考えると、非常に高価である。
1番人気はタコ、次にカニカマボコ。日本発カニのコピー商品がロシアで生産され、 今やアジアの人気食材になっているのだ。

 タコダコ
 そしてたこやきもまた、タイに根づこうとしているという。 文さんの店以外にもたこやき店は増えている。 日本料理店でも冷凍たこやきを温めてメニューになる。 24時間の巨大スーパーマーケットでも冷凍たこやきが販売されている。
 文さんの笑顔とたこやきの味に、日本のタ コヤキストは感激の涙が出そうになった
 日本のマンガでたこやきを知ったというタイの人たち。 夜スコータイの一室でタイ式マッサージをしてくれたカニタさんも、 たこやきはおいしい、大好きと微笑んでくれた。
 まさにコップンカー(ありがとう)な一日だった

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