☆★☆ たこやきめぐり 第34回 ☆★☆

再現不可能な思い出の味を追求して
− たこ八 その1 −

熊谷真菜

 はやらない店のお助け番組が目立つ。たし かにこの御時世、手っ取り早く食べもの商売 を始めたものの、素人がそう簡単に、はやる 店をやれるものではない。埼玉のはやらない たこ焼店の主人が、たこ八というこの道20年 の超プロに弟子入りし、厳しい特訓を。そし て数カ月後、なんとその店は、朝早くから長 蛇の列となり、1日15万もの売上げを記録す る繁盛店と変貌している。
取材する真菜さん
角山支配人の熱の入った話
 こんなサクセスストーリーが成り立つのも 、材料、焼き方、そして主人の熱意が変貌し たからにほかならない。天かすを高いところ からパラパラッとばらまく手付きひとつにも 、うまさを感じさせる演出が息づく。
 たこ八という屋号は昔から気になっていた 。しかしいい屋号ゆえ、あちこちで目にする 。どこが本家本元なのかという疑問もあった 。このたび縁もゆかりもない関東の一たこ焼 店に味と技を伝授し、人気店に仕立てあげた たこ八を是非たずねてみたい。

 まず迎えてくださったのが角山正浩さん。 営業本部の総支配人。といっても私と同年代 、背が高く体育会系の役者にもいけそうな面 持ちの人。そういえばこの人がテレビで指導 に当たっていた。あのときの厳しい雰囲気が まるで嘘のように、やさしい応対である。

焼士 角山支配人
曾根たこ八社長と

 昭和54年11月、たこ八はミナミに開店。56 、57年と続いて北新地に2店舗をオープン、 58年には、銀座数奇屋通りに進出している。 思いおこせば、以前私は銀座のたこ八で食べ ている。8個で800円ぐらいしたが、その 味わいはシンプルかつ素朴、なんとも上品に 仕上がったたこ焼だった。そのときは明石焼 としておだしにつけて食べた記憶がある。ま さかミナミに原点をもつ店とは想像できなか ったのだ。

続く...


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